一人の人間に1つの人生。
そういうもんだと以前は考えてたはずだけど、
結婚してから、いや、嫁と付合いだした頃だ、
あのころから、その概念が自分の中では崩れて来ていたように思う。
人生に確固たる予定があったわけでもないけど、
少なくとも、結婚して子供も居る今の生活は、人生の見通しにまったくなかった。
付合いだした頃から、自分の見通しが大きくねじ曲がっていく感じがした。
それは初めて、自分の人生に別の人が干渉する感覚だった。
自分の人生が自分の物でありながら、同時に他人の物でもある。
人と人生は、多対多の関係にあるように思えた。
今のネットの世界では、クラウドコンピューティングという仕組みが大きく取り上げられて来ている。
例えばヤフーやグーグルのサービスを利用する時、全ての人間が、同じ1つのサーバーを見ているわけではない。
多数のサーバーで同じサービスを提供し、利用者はその内のどれかにアクセスし、同じものを受け取る。
ちょうど、本店のないチェーン店のような物だ。
我々は、雲(クラウド)のようなサーバー群にアクセスを求めて利用する事になる。
自分が感じた人生の感覚も、それに近い。
数多の人生が、まるで人から離れてそれだけで独立し、流れていっているようだ。
一人の人間は幾つもの人生に関わり、1つの人生に何人もの人間が干渉していく。
いつの間にか、そういう見方をするようになっていた。
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